結成宣言


再審は、司法の誤りによって人生を破壊された人たちを救済する、最終手段です。
ひるがえって、我が国の再審の動向に目を向けると、それが十全に機能しているとは言い難い状況です。

袴田事件再審請求は、もっとも象徴的な出来事の一つであり、あらゆる再審事件に共通する課題を提示しています。2014年3月、静岡地裁は、証拠の捏造をも示唆しつつ、再審開始を決定しました。しかしその4年後、東京高裁は検察官の不服申立を認めて決定を取り消し、無実の袴田巖氏は、ふたたび死刑の危険に直面しています。

第一に明らかなのは、検察官による証拠の独占の弊害です。再審請求人が無罪を指し示す証拠へのアクセスを拒まれたまま、何十年と冤罪に呻吟しなければならないのみならず、証拠の隠蔽や捏造の温床となっています。

2016年刑事訴訟法改正により、不十分ながら証拠開示の一定のルールが定められました。しかし、再審は、この埒外に置き去りにされたままです。

第二に明らかなのは、再審開始決定に対する検察官の不服申立が、何の制約もなく認められていることです。このため、検察が理由もなく申立をくり返し、請求人の公正な裁判を受ける権利と冤罪原因解明の機会が奪われています。そのため、雪冤までに気の遠くなるような年月を要し、請求人の生命が先に尽きてしまう悲劇さえも生みだしています。

第三に明らかなのは、再審の手続き規定(ルール)がきわめて貧弱で、再審請求人の権利がほとんど保障されていないことです。

1980年代に、4つの死刑冤罪が明らかになり、また2010年足利事件以降、いくつもの重罪冤罪で再審無罪が確定したにもかかわらず、個々の誤判の検証はおろか、これらの誤判を生んだ司法制度の欠陥を究明し、改革を推し進めようとする動きは、いまだ社会を突き動かすまでに至っていません。

しかしこうした停滞を打ち破るように、さる3月2日、「冤罪犠牲者の会」が発足し、冤罪の苦しみを当事者として知る人たちが、同じ苦しみを二度と生まないため、自ら社会運動を開始しました。

こうした動きの中、私たちは再審法改正を現実の日程にのせていく時が熟したと考え、本日「再審法改正をめざす市民の会」を発足させました。今こそ幅広い市民、法曹、冤罪被害当事者が手を結び、再審制度の改革を推し進め、あらゆる冤罪の根を絶つための第一歩を記すことを宣言します。

2019.05.20 再審法改正をめざす市民の会 結成集会参加者一同